中秋の名月(十五夜) その2-2

中秋の名月は日本古来の風習というイメージがありますが、起源は唐時代の中国で始まった「中秋節」ともいわれています。中国人は秋の年中行事として、庭でお茶、お酒、おつまみ、月餅などを楽しみながら、美しい月を眺めていました。
 
この習慣がやがて日本に伝わり、月餅の代わりに月見団子を食べるというアレンジを加えながら、今に至っています。
 
ちなみに中秋節は中国語では「団円節」とも呼ばれています。この名称からもわかるように、中秋節は家族団らんのための行事でもあり、また農作業で助け合いながら頑張ってきた仲間の慰労会的な役割も果たしていました。
中秋の名月(十五夜)に欠かすことができないお供え物のひとつに丸い団子があります。みなさんもよくご存じの月見団子のことですが、なぜ中秋の名月の日には団子をお供えするのでしょうか?
 
中秋の名月の日に団子を備えるようになったのは、江戸時代からともいわれています。前述のように旧暦8月15日には「秋の収穫を祈る」「秋の収穫に感謝する」という意味を込めてお祭りをしていました。
 
そのため、米を粉にし、丸く形成した団子をお月様にお供えするようになったとされています。月にお供え物をする理由については、月は信仰の対象であり、団子を丸くするのは、もちろん月に見立てているためです。
 
ちなみに月見団子の形ですが、主流は丸型となっていますが、一部の地域(京都など)では、少し細長い形にすることもあります。
 
これはかつての中秋の名月では里芋をお供えするのが一般的であったため、里芋をイメージした形の月見団子が作られるようになったという説があります。
 
 
全国に広く分布するススキは、日本人にとって最も身近な植物のひとつに該当します。中秋の名月では月見団子と一緒にススキを飾るイメージが非常に強いです。
 
なぜ中秋の名月ではススキを飾るのでしょうか?実は中秋の名月で飾られるススキは、稲穂の代用として飾られています。
 
稲穂は本来月の神様の依り代(よりしろ)と考えられています。依り代とは神霊(月の神様)が憑依するもののことであり、稲穂を飾ることで、その実りを連想させ、豊作を祈るというものでした。
 
しかし、中秋の名月の時期はまだ稲穂が実る前でもあったため、代わりに穂の出たススキを稲穂に見立てて飾ったのが始まりとされています。
 
地域によってはお月見で飾ったすすきは捨てずに、庭や水田に立てたり、軒先に吊るすこともあります。こうすることで家や田んぼなどを災いから守ってくれるともいわれています。


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