さらにその130年後、当時インド全土を支配していたアソーカ王は自ら深く仏教に帰依していました。
しかし、教団が幾つもの部派に分裂し、多くの部派で経や律が恣意的に改変され、比丘や在家信者の精神が荒廃し、仏教が徐々に衰退していく有り様を憂えていました。
そこで、マウルヤ王朝の首都パータリプッタで、聖典の第三結集を行うよう、仏教教団に依頼しました。
この第三結集の特徴は、経と律の再確認だけでなく、この時初めて、論蔵の編纂が明記されていることです。論蔵とはお釈迦様以来の聖典から外れた様々な異解・邪見を一つずつ批判し論破した論文であり、簡単にいうと解説書であります。
経蔵=ブッダの教え
律蔵=仏教徒の戒律
論蔵=仏教の理論的研究書
上記の三つの蔵を総称して「三蔵」といいます。
この第三結集の後、異解・邪見を唱えた部派が全て滅びる一方、上座部だけはスリランカから世界へ不変の教えを伝え続けています。
第四結集は上座部の結集史においてはスリランカで実施された唯一の結集です。この時に編纂確認された仏典の内容は、正確には知られていません。
しかし第四結集で特筆すべきは、従来は口誦によって連綿と伝持されてきた仏典が、この時初めて書写されたとされる点です。
この結集が契機となって、それ以降、教団の仏典伝持の方法は、
従来の口伝口誦一辺倒の方法から写本による書写伝承の方法をも加味する様になって行ったと考えられています。
ちなみに、日本を含む東アジアや東南アジアは大乗仏教にあたります。
大乗仏教は出家者に限らず在家者を含めた一切の衆生の救済を掲げる仏教宗派の総称です。
上座部仏教との違いは、出家による「自力救済」を説く初期仏教の世界観・救済観を乗り越える形で形成・発展されてきたということです。
そのため、釈迦の教えそのものから変容している面があります。
大乗仏教の教えとして特筆すべき点は、衆生皆菩薩・一切衆生悉有仏性・生死即涅槃・煩悩即菩提などの如来蔵思想や、釈迦が前世において生きとし生けるものすべて(一切衆生)の苦しみを救おうと難行(菩薩行)を続けて来たことに基づいて、自分たちもこの釈尊の精神(菩提心)にならって六波羅蜜の概念の理解を通じ善根を積んで行くことにより、遠い未来において自分たちにもブッダとして道を成じる生が訪れる(三劫成仏)という修行仮説や死生観(地獄や空色を含む大千世界観)へと発展していったということです。
大乗仏教に分類される代表的な仏教経典としては、般若経、法華経、浄土三部経、華厳経、大日経、金剛頂経などが挙げられます。
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